※前のページ、「がんの手術T」の続きです↓
手術(外科療法)は、「拡大手術」と「縮小手術」の 2つの種類があります。
拡大手術とは、治癒(ちゆ)のためにできるだけ広い範囲を切除する方法です。縮小手術とは、治癒のためにできるだけ切除する範囲を小さくする方法です。
それでは、拡大手術と縮小手術についてくわしく見ていきましょう。
拡大手術とは、がん病巣だけでなく、がんが浸潤(しんじゅん)してしまっている(進んでしまっている)と思われる周りの臓器、組織、リンパ節も含めて大きく切除する方法です。
ちなみに、がんが進んでいる可能性のあるリンパ節をすべて取り除くことを「リンパ節郭清(りんぱせつかくせい)」といいます。
ただ、拡大手術といっても、やはり患者さんの体の機能や手術後の生活ができるだけ低下しないように考えて行われます。
縮小手術とは、切除する範囲をなるべく小さくして行われる手術方法です。拡大手術にくらべて、臓器を全て摘出するわけではないので、患者さんへの負担も軽く、社会復帰も早いというメリットがあります。
以前では、がんであれば拡大手術を行ってきましたが、現在では、胃・大腸・肺・乳房、などの早期がんでは、縮小手術を行うことが多いです。(胃がんの手術・大腸がんの手術・肺がんの手術・乳がんの手術)
機能温存手術(きのうおんぞん しゅじゅつ)とは、臓器の機能をなるべく残すことを考えながら手術する方法です。手術後の患者さんの生活の質を保てるよう考えて行われます。
肛門の近くにがんが発生する直腸がん(大腸がん)では、肛門をすべて切除せずに、なるべく肛門の筋肉を残して機能を温存できるように手術します。
膀胱がん(ぼうこう がん)や前立腺ガン(ぜんりつせん がん)、では、性機能の関わる神経を残すようにして手術します。(膀胱がんの手術・前立腺がんの手術)
ただ、がんの発生した場所や進行具合によっては、機能温存手術ができないこともあります。
再建手術(さいけん しゅじゅつ)とは、病変の切除のためにいっしょに切り取ってしまった臓器などを、新しく作り直す手術です。
再建手術により、切除してしまった部分の機能を取り戻したり、乳がんなどでは乳房の外見を良くすることで、患者さんの精神的な部分への負担を軽くするなどの効果があります。
再建するときには、体の別の一部を使うこともあります。例えば、舌にできる舌がん(ぜつがん)や食道がんでは、舌や食道の一部をがんと一緒に切除するので、その形や機能を取り戻すために再建手術を行いまが、舌の再建にはお腹の筋肉を、食道の再建には小腸の一部などを使います。(舌がんの手術・食道がんの手術)
ただ、再建手術でも、すべての機能がもとにもどるとは限りません。また、状態によっては再建手術ができない場合もあります。
|