膀胱がんの治療は、手術(外科療法)、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療などがありますが、手術による治療が基本となります。
膀胱がんでの手術は、表在がん(ひょうざいがん)に対して行う「内視鏡による手術」と、浸潤がん(しんじゅんがん)に対して行う「開腹手術」、の2つがあります。
それでは、まずは膀胱がんの手術についてもう少しくわしく見ていきましょう
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内視鏡的療法 (ないしきょう てき りょうほう) |
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がんが表在がん(膀胱の粘膜層までにとどまっているがん)である場合は、内視鏡による手術を行います。内視鏡とは、細い管の先にカメラが付いていてさらに切除などの治療もできるものです。
内視鏡を尿道から挿入して、高周波電流を流してがんを切除します。この治療方法を「経尿道的腫瘍切除術(けいにょうどうてき しゅよう せつじょ じゅつ)」といいます。手術時間は 1時間ぐらいです。
経尿道的腫瘍切除術は、開腹手術とはちがい、お腹を切り開かないので、患者さんへの負担が軽く、回復も早いというメリットがあります。
がんが浸潤(しんじゅん:がんが周囲にまでも広がっている状態)しているときには、膀胱を全て摘出する「膀胱全摘除術(ぼうこう ぜんてきじょ じゅつ)」が行われます。この手術は、お腹を切り開いて行う「開腹手術」により行われます。
お腹を切り開いて、膀胱を全て切除し、男性では前立腺と精嚢(せいのう)、女性は子宮、さらに骨盤内のリンパ節を切除します。状態によっては尿道も切除します。男性は、この手術によりインポテンツ(インポテンス)になる可能性が高いですが、手術方法によってはならずにすみます。ただ、射精は出来なくなります。
膀胱全摘除術をおこなったら、次は新しく尿をためる部分や排出する部分を作る必要があります。それらをつくる手術を「尿路変更術(尿路変向術)」といいます。
尿路変更術は代表的なものとして、「回腸導管造設術(かいちょう どうかん ぞうせつ じゅつ)」、「自排尿型新膀胱造設術(じはいにょうがた しんぼうこう ぞうせつ じゅつ)」、「導尿型新膀胱造設術(どうにょうがた しんぼうこう ぞうせつ じゅつ)」、の3つがあります。この3つに関しては、次のページの「膀胱がんの治療@〜手術U」でくわしく解説・紹介しています。
尿路変更術は他にも、切断した尿管をお腹の皮膚に直接ぬい付ける「尿管皮膚瘻造設術(にょうかん ひふろう ぞうせつ じゅつ)」、尿管をS状結腸につなぐ「尿管S状結腸吻合術(にょうかん えすじょう けっちょう ふんごう じゅつ)」などがあります。(※S状結腸とは、肛門に近いところの大腸のことです。)
それでは、次のページでは、それぞれの尿路変更術について見ていきましょう。
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