動脈硬化の程度や状態によっては、必要に応じて薬を使って治療する「薬物療法」を行うこともあります。
動脈硬化の薬物治療としては、「コレステロールを低下させる薬」が最も重要です。
また、血管が血栓(血液の固まり)により詰まるのを防ぐために、血液を固まりにくくする「抗血栓療法(こう けっせん りょうほう)」が行われたり、高血圧を改善する「血圧降下薬」、血糖値を下げる「経口血糖降下薬(けいこう けっとう こうか やく)」、血液の中の尿酸値が異常に高くなる高尿酸血症に対する治療薬などが使われたりします。
それでは、それぞれの治療薬について見ていきましょう。
 |
コレステロールを低下させる薬 |
|
|
動脈硬化の中でも、「粥状硬化(じゅくじょう こうか)」と呼ばれる動脈硬化は、血液の中の余分なコレステロール(悪玉コレステロール)により発生するので、血中コレステロールを下げる薬を使うことがあります。
コレステロールを下げる薬には、「HMG-CoA還元酵素阻害薬(かんげん こうそ
そがいやく)」、「陰イオン交換樹脂(いん いおん こうかん
じゅし)」、「プロブコール」、などがあります。
コレステロールを下げる薬についてくわしくは、高脂血症(脂質異常症)のカテゴリの「高脂血症の薬物療法A〜コレステロールの薬」のページをご覧下さい。
 |
抗血栓療法 (こう けっせん りょうほう) |
|
|
抗血栓療法とは、薬を使って血液の固まりである「血栓(けっせん)」ができるのを防いだり溶かしたりすることで、血管の詰まりを解消したり、詰まりにくくしたりする治療方法です。
動脈硬化の中でも「粥状硬化(じゅくじょう
こうか)」では、血栓が発生する可能性があるので、抗血栓療法により血液が固まりにくくする治療を行うことがあります。
抗血栓療法には、「血栓溶解療法(けっせん ようかい りょうほう)」、「抗血小板療法(こう けっしょうばん りょうほう)」、「抗凝固療法(こう ぎょうこ
りょうほう)」、などがあります。
抗血栓療法についてくわしくは、脳梗塞のカテゴリの「脳梗塞の治療A〜抗血栓療法T」、「脳梗塞の治療B〜抗血栓療法U」、のページをご覧下さい。
 |
血圧を下げる薬 |
|
|
高血圧は動脈硬化を発生・進行させるので、血圧を下げて正常な状態にすることも動脈硬化の治療となります。
血圧を下げるには、食事療法や運動療法などの生活習慣の改善が基本ですが、それでも血圧が下がらない場合は、血圧を下げる薬の「降圧剤(降圧薬)」を使います。
降圧剤(こうあつざい)は様々な種類のものがあり、患者さんの状態により適した薬が処方されます。
高血圧の薬物療法については、高血圧のカテゴリの「高血圧の治療A〜高血圧の薬」、「高血圧の治療B〜降圧剤の種類」、のページをご覧下さい。
 |
血糖値を下げる薬 |
|
|
糖尿病により血糖値が高い(血液の中にブドウ糖が多すぎている)方は、動脈硬化の発生・進行の危険が高いので、血糖値を下げる薬を使う場合があります。
血糖値を下げる薬は、「経口血糖降下薬(けいこう けっとう こうか やく)」と呼ばれ、効き目の強さや時間などの違いにより様々な種類のものがあります。
糖尿病の薬物療法については、糖尿病のカテゴリの「糖尿病の薬物療法@〜経口血糖降下薬」のページからご覧下さい。
 |
血液の中の尿酸値を下げる薬 |
|
|
血液の中に尿酸が以上に増えてしまう「高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)」になると、動脈硬化が発症したり、進行し悪化したりする原因となります。
また、高尿酸血症になることで、尿酸が体中の色々なところで尿酸塩の結晶としてたまり、急性の関節炎である「痛風(つうふう)」が起こったり、他にも様々な病気や障害が発症します。
ですから、高尿酸血症がある場合は、尿酸値を下げる治療を行います。高尿酸血症の治療は、生活習慣の改善を基本として、薬物療法を行います。
尿酸を下げる薬である「尿酸降下薬」は、「尿酸排泄促進薬(にょうさん はいせつ そくしん やく)」と「尿酸生成抑制薬(にょうさん せいせい よくせい やく)」があります。
それでは次のページでは、動脈硬化の手術について見ていきましょう。
※次のページ「動脈硬化の治療F〜カテーテル手術」へ続く・・・・
|