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コレステロールを下げる薬 |
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主にコレステロールを下げる薬には、「HMG-CoA還元酵素阻害薬(かんげん こうそ そがいやく)」、「陰イオン交換樹脂(いん いおん こうかん じゅし)」、「プロブコール」、などがあります。
それではそれぞれの薬について簡単に見ていきましょう。
コレステロールの高いタイプの人によく使われる薬で、HMG-CoA還元酵素の働きを妨げて、肝臓でのコレステロールが作られるのを抑えます。さらに、LDLを細胞に取り込む働きのある「LDL受容体」を活性化させてコレステロール値を下げます。
コレステロールを少なくする作用が強い薬で、総コレステロール値を 20〜30%ぐらい低下させるといわれています。さらに、LDLも30%以上減少します。
コレステロールと中性脂肪の両方が高いときにも使われますが、他の薬と同時に使うこともあります。
「スタチン」とも呼ばれます。
副作用は、筋肉が萎縮(いしゅく)する横紋筋融解症(おうもんきん ゆうかいしょう)」、肝臓障害、胃腸障害、白内障、などがあります。
小腸で脂肪を消化吸収しやすく変化させる胆汁酸(たんじるさん)と結びついて胆汁酸の働きを弱め、便といっしょに胆汁酸を排出させるので、食事などからの脂質の吸収を少なくすることができます。
胆汁酸とは、コレステロールを材料として肝臓で作られ、、胆嚢(たんのう)から十二指腸に分泌される消化液です。胆汁酸は小腸内で脂質の消化吸収を助ける働きがあります。
また、陰イオン交換樹脂は、LDLを細胞に取り込む働きのある「LDL受容体」を活性化させてコレステロール値を下げます。
この薬の使用によるコレステロール低下率は、だいたい 10%ぐらいと、効果は低いです。その理由は、この薬を使うことで肝臓でコレステロールが作られる量がとても高くなってしまうからです。
陰イオン交換樹脂は、胆汁酸排泄促進薬(たんじるさん はいせつ そくしん やく)とも呼ばれています。
副作用は、便秘、悪心、腹部膨満感、脂肪性下痢、ビタミンA、D、E、K、などが不足しやすくなる、などがあります。
プロブコールとは、、コレステロールを肝臓に戻す働きを助けて、肝臓でコレステロールが作られるのを妨げる働きがあります。
また、動脈硬化の原因となるコレステロールの酸化を防ぐ作用があると言われています。
プロブコールの作用は強力で、コレステロール値を 10〜20%も低下させますが、HDLコレステロール(善玉コレステロール)も同時に減らしてしまうというデメリットもあります。
また、長い間つかっても安定した効果が得られるため、家族性高コレステロール血症の人にも使われます。
副作用は、下痢、軟便、食欲不振、嘔吐(おうと)、発疹(はっしん)、などがあります。
この薬は、小腸コレステロールトランスポーター(輸送タンパク)を阻害(そがい)することで、肝臓から排出される胆汁性コレステロールと食事からのコレステロールが小腸から吸収されるのを強力にさまたげて、血液コレステロールを低下させる働きがあります。
それでは次のページでは、主に中性脂肪値を下げる作用のある薬について見ていきましょう。
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