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抗血栓療法とは、薬を使って脳梗塞の原因となる血栓(けっせん)ができるのを防いだり、溶かしたりするすることで、脳の血管の詰まりを解消したり、詰まりにくくしたりする治療方法です。
抗血栓療法には、「血栓溶解療法(けっせん ようかい りょうほう)」、「抗血小板療法(こう けっしょうばん りょうほう)」、「抗凝固療法(こう ぎょうこ りょうほう)」、があります。
それでは、それぞれの抗血栓療法について見ていきましょう。
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血栓溶解療法 (けっせん ようかい りょうほう) |
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血栓溶解療法とは、抗血栓療法の一つで、脳の血管に詰まっている血栓(けっせん:血液の固まりのこと)を薬によって溶かして、血流を回復させる治療法で、発症した直後(3〜6時間以内)に行います。
脳梗塞でも太い血管が詰まったときに行うことが多く、「アテローム血栓性脳梗塞」や「心原性脳梗塞症」の治療に行います。
治療方法は、脳梗塞の症状が現れて 3時間以内なら、腕の静脈から「t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)」と呼ばれる薬を点滴により体内へ入れていきます。
また、3時間以上 6時間以内なら、カテーテールと呼ばれる細い管を太ももの付け根の動脈から挿入して、脳の血管の詰まっているところまで到達させ、「ウロキナーゼ」という薬を送り込んで、血栓を溶かします。この治療法は血栓のある部分に近いところから薬を投与できるので、「局所線溶療法」とも呼ばれます。
ただ、血栓溶解療法による治療は、脳梗塞が発症してから 6時間以上経過している場合、意識障害や運動麻痺(うんどうまひ)などの症状が重い場合、梗塞している部分(脳が壊死している部分)が大きい場合、高齢などにより血管の壁がもろくなっている場合などには、この治療を行うことで出血してしまう危険があるので、適応できません。
脳梗塞の治療は、血流を回復させて、機能は停止しているがまだ壊死(えし)していない脳細胞(ペナンブラ)をいかに救うかが重要となります。ですから、この血栓溶解療法により、早い血流の回復を行うことができるので、脳細胞の壊死をくい止めて後遺症をなるべく軽くすることができます。
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