化学療法とは、抗がん剤という、ガンの増殖をおさえてがんを死滅させる効果のある薬を、点滴や内服(飲み薬)により使う治療方法です。
抗がん剤治療では、がんの種類によっては抗がん剤だけでがんを完全に消滅(完全寛解)させることができます。例えば、悪性リンパ腫・白血病、精巣がん(睾丸がん)、絨毛がん(じゅうもう がん)、などです。
しかし、他のがんでは、抗がん剤だけの治療でがんを治すことはできません。手術や放射線治療などを組み合わせて、がんに適した治療法を行うことで、完治できる場合もあります。様々な治療法を組み合わせて行う治療を「集学的治療(しゅうがくてき ちりょう)」といいます。
集学的治療では、抗がん剤は、手術の前に使ってがんを小さくしたり、手術の後に取り残したがんがある可能性が考えられる場合に再発・転移を防止するために使われたりすることが多いです。
食道がんでは、放射線と抗がん剤を併用する「放射線化学療法(ケモラジ)」で、手術と同じぐらいの治療効果が期待できます。(食道がんの内視鏡・抗がん剤治療・食道がんの放射線治療)
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抗がん剤と副作用 |
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抗がん剤は、がん細胞が細胞分裂できなくして、増殖できないようにして、死滅させる薬です。これががん細胞だけを攻撃してくれればよいのですが、がんだけでなく、正常な細胞にも作用してしまいます。
つまり、抗がん剤が正常な細胞の増殖をも妨害してしまうのです。もちろん、なるべく正常な細胞には作用せず、がん細胞だけに作用する抗がん剤が使われるのですが、正常細胞が攻撃されてしまうことで、様々な副作用が発生してしまいます。
抗がん剤による副作用としては、白血球や血小板の減少、髪の毛が抜ける、吐き気、嘔吐(おうと)、などです。
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抗がん剤と使用期間 |
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抗がん剤を使う期間は、1〜3週間を「1クール」として、2〜8クール行います。はっきりとした期間はがんの種類やその状態により様々です。1クール行ったら1〜3週間ぐらい休んで、また次のクールを行います。
抗がん剤に攻撃されたがん細胞は回復することはできませんが、正常細胞は 3週間ぐらいで回復するので、間に休む必要があるわけです。
ただ、抗がん剤治療をある回数以上くり返していると、効果が期待できなくなることが多いです。
それでは次のページでは、分子標的治療薬について見ていきましょう。
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