下咽頭がん

	下咽頭とは？

下咽頭（か いんとう）とは、のどぼとけの後ろ側の部分、食道の入り口付近（のどのいちばん下の部分）のことです。

咽頭は、上・中・下、と 3つの部分に分けられていて、それらを、「上咽頭（じょう いんとう）」、「中咽頭（ちゅう いんとう）」、「下咽頭（か いんとう）」、といいます。

	下咽頭がんとは？

下咽頭がん（か いんとう がん）とは、下咽頭に発生する癌（ガン）のことです。咽頭癌の半数以上が「下咽頭がん」です。

咽頭がんは、がんが小さくても頸部リンパ節（けいぶ りんぱせつ：首のリンパ節のこと）に転移しやすいです。

	下咽頭がんの原因

下咽頭がんの原因は、はっきりしたことはわかっていませんが、「喫煙（たばこ）」と「飲酒（アルコール）」により起こる確率が上がるとされています。

下咽頭がんでも、輪状軟骨（りんじょうなんこつ）後部にできる癌（ガン）は、貧血の女性に多いといわれています。（※輪状軟骨とは、のどぼとけの下の軟骨のことです）

	下咽頭がんの症状

下咽頭がんの症状は、初期の段階では、軽い咽頭の痛み、食べ物を飲み込むと少しつっかえる感覚や痛みがある（嚥下痛：えんげ つう）、などの症状が起こります。

癌（ガン）が進むと、咽頭痛、食べ物を飲み込んだときのつっかえる感覚や痛みがさらにひどくなる、など症状が悪化していきます。

さらにがんが進み、喉頭（こうとう：のどぼとけのこと）までがんが進んでしまうと、声がかすれたりします。

	下咽頭がんの検査

下咽頭ガン（か いんとうがん）の検査は、内視鏡など使い病変（がん）があるかどうかを調べる「視診（ししん）」と、のどの部分を触ってしらべる「触診（しょくしん）」を行います。

また、病変が見つかったら、それががんであるかどうかを調べるため、病変の組織を少し採取して調べる「生検（せいけん）」を行います。さらにがん細胞の種類なども調べます。

ガンが周辺組織へどの程度広がっているのか、またリンパ節への転移などがあるかどうかを調べるために、「CT検査」、「MRI検査」、「超音波検査」、などの画像検査も行います。

	下咽頭がんの治療

下咽頭がん（か いんとうがん）の治療は、中咽頭がんと同様、早期の段階ならば放射線療法と抗がん剤治療を行うことで治る可能性もあります。

ただ、下咽頭がんは、発見されたときには癌（ガン）が進行してしまっていることが多いので、手術を基本とした治療を行うことになります。

喉頭を切除すると声が出せなくなってしまいますので、手術はなるべく喉頭（こうとう：のどぼとけのこと）を残すように行いますが、一般的には、下咽頭、喉頭、食道、を摘出します。首のリンパ節（頸部リンパ節）への転移がある場合は、リンパ節も切除します。

手術により失った部分は、患者さんの皮膚、胃、腸、などの一部を利用して再建手術を行います。通常は、小腸の一部を利用して食道を作ります。

喉頭がんに比べると、下咽頭がんの方が手術による切除範囲が広いので、食道音声により声を出すことはむずかしいといえます。（※食道音声とは、声帯のかわりに、食道の上部（喉頭辺り）を使って音を出し、会話をする発声方法のこと）