骨肉腫(こつにくしゅ)の治療は、手術(外科療法)と抗がん剤治療(化学療法)を組み合わせて行う治療が中心となり、放射線療法も行うことがあります。
骨肉腫には抗がん剤による治療効果が期待できます。ですので、手術の前に抗がん剤でがんを小さくしてから、手術を行うことが多いです。また、手術の後、傷が治るのを待って抗がん剤治療を行うこともあります。
放射線療法は、手術のときに行うことでよい効果が期待できます。ただ、放射線療法だけの治療で終わることはありません。
それでは、各治療法についてくわしく見ていきましょう。
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外科療法(手術) |
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骨肉腫の手術(外科療法)は、腫瘍(しゅよう)を完全に切除し、切除した骨や関節を再建してその機能を回復させることを十分に考えて行われます。
骨肉腫の手術は、腫瘍(しゅよう)が小さいのであれば、がんのある部分を正常な組織で包むようにして広い範囲で切除します。そして「自家骨移植(じかこついしょく)」や「人工関節置換術(じんこう かんせつ おきかえじゅつ)」などを行います。
「自家骨移植(じかこついしょく)」とは、がんのある骨を取り除いた後、患者さんの体の他の部分の骨を使って、骨を取り除いた部分をつなぎ合わせて形作る手術です。
「人工関節置換術(じんこう かんせつ おきかえじゅつ)」または「人工骨置換術(じんこうこつ おきかえじゅつ)」とは、がんのある部分の骨を取り除いて、その部分を人工の骨や人工関節をつかってつなぎ合わせて形作る手術です。
腫瘍が大きいのであれば、関節を切り離す手術や、手足を切断する手術を行うことになります。
ただ、骨肉腫の方の約90%が手足を切断しないで治療できるというデータがあります。
患肢温存術(かんしおんぞんじゅつ)とは、なるべく切除する範囲を狭くして、患者さんの体の機能を残すようにする手術です。患肢温存術を行うか、それとも切断してしまうかは、骨肉腫の広がり具合や、抗がん剤治療(化学療法)が効いているかどうか、年齢、発生場所、などにより決定されます。
手術はなるべく患者さんの機能を残すように行われるのが普通ですが、手術自体はむずかしく、さらに手術の後に再発や転移をする可能性や、合併症が多いなどのデメリットもあります。
患肢温存術を行っても、手術をした部分の手や足の機能は元通りにはならないことが多いです。
また、患肢温存術の後、再発してしまった場合は、ほどんどが切断することになってしまいます。
◆回転形成手術 (かいてん けいせい しゅじゅつ) |
回転形成手術(かいてん けいせい しゅじゅつ)とは、足の膝(ひざ)を含めて切断してしまった場合に、足首の関節を膝(ひざ)の関節として利用する手術です。
足を、膝の上のところと膝の下のところで切断して、膝を取り除きます。そして、まだ健康な膝から下(すね・足首・足先)を
180度回転させて、膝上の切断面とつなぎ合わせて、足首の関節が膝の位置にくるようにします。足先の部分には義足を付けます。
この手術でのメリットは、足首の関節を膝の関節として使うことができるので、歩行などがしやすいという部分です。ただ、かかとからつま先の部分が逆についてしまうので、それに抵抗を感じてしまうというデメリットがあります。
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