皮膚ガンには、見た目には「ほくろ」にとてもよく似ているものがあります。それが「悪性黒色腫(あくせい こくしょく しゅ)」です。これは「黒色腫」または「メラノーマ」とも呼ばれ、皮膚がんの中ではもっとも悪性度が高く、転移しやすいです。
悪性黒色腫は、「ほくろのがん」としてもよく知られているものです。健康な皮膚から発生することもありますが、ほとんどの場合はほくろや黒あざから発生します。皮膚が全体の約18%を占めています。
悪性黒色腫の発生は、皮膚の色と関係するメラニン色素をつくる「メラノサイト」、またはほくろの細胞(母斑細胞:ぼはんさいぼう)ががん化することで起こります。
悪性黒色腫の死亡率は、男性では60歳代、女性では70歳代から増加します。
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悪性黒色腫(メラノーマ)の原因 |
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悪性黒色腫(あくせい こくしょく
しゅ)の原因は、はっきりしたことはわかっていませんが、紫外線や、慢性的に刺激を受けやすい体の場所(足のうら、爪など)、外傷の傷痕(きずあと)などが関係しているとされています。
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悪性黒色腫(メラノーマ)の症状 |
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悪性黒色腫(あくせい こくしょく
しゅ)は、ほくろに似てはいますが、ほくろとは違い左右対称ではなく、ふちがはっきりしていなくてギザギザしていて、色むらがあります。
悪性黒色腫は皮膚のどの場所にも発生しますが、足の裏にいちばん多く発生して、体幹(たいかん:胴体のこと)、手のひら、顔面、つめ、などにも発生します。
直径が5〜6mm以上にまで大きくなってきた場合は、悪性黒色腫である可能性が高いので、注意しましょう。また、足の裏のほくろにも十分注意しましょう。
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悪性黒色腫(メラノーマ)のステージ・病期 |
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悪性黒色腫のステージ・病期は、腫瘍の(しゅよう)の大きさやその状態、転移の有無などにより、T期〜W期までに分類されています。
▼ 悪性黒色腫(メラノーマ)のステージ・病期分類
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・T期 -
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最初に発生した場所だけに腫瘍(しゅよう)があり、その腫瘍の厚さが
1mm以下で、転移が無い状態。または、腫瘍の厚さが 1mmを超えていても 2mm以下で、腫瘍の表面に潰瘍(かいよう)がない状態。 |
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・U期 -
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最初に発生した場所だけに腫瘍(しゅよう)があり、その腫瘍の厚さが 1mmを超え
2mm以下で、転移が無く、潰瘍がある状態。または、腫瘍が 2mmを超えている状態。 |
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・V期 -
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最初に腫瘍が発生した場所から最も近いリンパ節(所属リンパ節)に転移がある状態。もしくは、最初に腫瘍が発生した場所の周りや所属リンパ節までの間に皮膚転移や皮下転移がある状態。 |
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・W期 -
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最初に腫瘍が発生した場所から最も近いリンパ節(所属リンパ節)を超えた部分に、皮膚転移、皮下転移、リンパ節転移がある状態。もしくは、内臓に転移がある状態。 |
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悪性黒色腫(メラノーマ)の治療 |
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悪性黒色腫(あくせい こくしょく
しゅ)の治療は、手術で大きく切除します。悪性黒色腫は悪性度が高く、腫瘍を傷つけると転移してしまう可能性があるので、腫瘍を傷つけずに注意して行われます。
悪性黒色腫への化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法は、延命の効果はありますが、治すことはむずかしいです。
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