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睡眠時無呼吸症候群とメタボリックシンドローム |
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「睡眠時無呼吸症候群(すいみんじ むこきゅう しょうこうぐん)」とは、寝ている時に呼吸が一時的に何度も停止してしまう病気です。「SAS」とも呼ばれます。
睡眠時無呼吸症候群の人は、肥満の人に多く見られます。ですから、メタボリックシンドロームの人にも大きく関係している病気であるといえます。
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睡眠時無呼吸症候群の人数と性別 |
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睡眠時無呼吸症候群は、95〜100kgの肥満の人に多く見られ、患者数は、約200万人以上いると言われています。
性別では、ほどんどの患者さんが男性です。
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睡眠時無呼吸症候群の原因 |
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肥満していると、寝ている時に重力のために「口蓋垂(こうがいすい)」と呼ばれる口の奥(口蓋)にある部分(のどちんこ)が下がりやすくなってしまうため、気道が狭くなります。
また、肥満していることで、「軟口蓋(なんこうがい)」と呼ばれる口中の空洞(口腔)と鼻の空洞(鼻腔)を分離している口の中の上壁の部分や喉(のど)に脂肪がついているため、気道が狭くなってしまいます。
気道が狭くなれば「いびき」をかいたり、気道が閉じてしまい窒息状態になりやすくなります。
また、睡眠時無呼吸症候群になることで眠りが浅くなると、脂肪を分解する働きのある成長ホルモンの分泌が低下してしまい、太りやすくなってしまうので、肥満から無呼吸症候群、そして無呼吸症候群からさらに肥満へという悪循環が起こってしまいます。
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睡眠時無呼吸症候群の種類 |
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睡眠時無呼吸症候群の種類には、「閉塞型」と「中枢型」の2つの種類があります。
「閉塞型」とは、上気道が閉じてしまうことで、口や鼻からの呼吸が停止してしまい、無呼吸になるものです。
「中枢型」とは、呼吸中枢の機能が低下してしまうことで、呼吸のための筋肉の運動が停止して無呼吸になるものです。ただ、中枢型の頻度は少ないです。
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睡眠時無呼吸症候群の症状 |
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睡眠時無呼吸症候群の症状は、睡眠時のいびき、そして眠りが浅くなることで、日中のひどい眠気、体がだるい、疲労感、などがあります。
また、酸素不足のために循環機能に負担がかかり、高血圧、不整脈、狭心症、心筋梗塞、心不全、脳梗塞、糖尿病といった様々な病気が発生したり、悪化してしまったりします。
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睡眠時無呼吸症候群の診断 |
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睡眠時無呼吸症候群と診断される基準は、「睡眠中に10秒以上の呼吸停止の状態が30回以上ある」もしくは「睡眠中に
10秒以上の呼吸停止状態が 1時間に 5回以上ある」場合です。
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睡眠時無呼吸症候群の検査 |
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睡眠時無呼吸症候群の検査は、「エプワース眠気尺度」、「睡眠ポリグラフ検査」の2つの種類があります。
「エプワース眠気尺度」とは、眠気をはかる検査で、8項目についての質問に 4択で答えることで、自己診断することができるものです。
そして、4択の答えにはそれぞれに 0・1・2・3 と点数がついていて、答えの点数の合計で日中の眠気の程度を判断します。
8項目中、15点以上は異常、11点以上だとやや異常ということになります。
下記がエプワース眠気尺度の8項目と 4択の答えです。
エプワース眠気尺度の8項目 |
@ 座って読書中
A テレビを見ている時
B 会議、劇場などの人の大勢いる場所で座っている時
C 乗客として他の人の車に、休憩なしで1時間以上乗っている時
D 午後に横になっている時
E 座って人と話をしている時
F お酒を飲まずに昼食後、静かに座っている時
G 車を運転していて、信号で数分間とまっている時 |
エプワース眠気尺度の 4択の答えと点数配分 |
0点 = 眠ってしまうことはない
1点 = 時に眠ってしまう(軽度)
2点 = しばしば眠ってしまう(中等度)
3点 = だいたいの場合、眠ってしまう(高度)
(※ 8項目中、15点以上は異常、11点以上だとやや異常) |
睡眠ポリグラフ検査とは、検査用の端子を体に付けて、寝ている時の、脳波、心電図、胸部の動き、眼球の動き、口と鼻の空気の流れ、動脈に流れる血液の酸素濃度、などを調べる検査です。
検査の機械を病院からかりて自宅で行う方法と、病院に泊まって行う方法があります。
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睡眠時無呼吸症候群の治療 |
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睡眠時無呼吸症候群の治療方法は、専用のマスクを使う「持続陽圧呼吸療法(CPAP)」と、「専用のマウスピース」を使う治療があります。
「持続陽圧呼吸療法(じぞく ようあつ こきゅう りょうほう:CPAP)」とは、寝ている時に患者さんにプラスチックのマスクを装着して、装置により空気を送り込こむことで、気道をふさいでしまっている部分を持ち上げて広げる治療方法です。
この治療により呼吸が楽になり、いびきや無呼吸がなくなって睡眠が中断しなくなるので、睡眠時の酸素不足を解消することができ、しっかりとした睡眠をとることができます。
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睡眠時無呼吸症候群の予防と改善 |
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睡眠時無呼吸症候群の予防と改善方法は、「減量をする」、「横向きに寝る」、「筋肉を弛緩(しかん)させるので、睡眠薬やアルコールはやめる」、「禁煙する」、などです。
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