高次脳機能障害とは、病気やケガなどで脳に損傷を受けたために、言語・記憶・思考・行為・学習・注意・判断、などに障害が起こってしまった状態を言います。知的活動や精神的活動などの運動や感覚のような基本的な機能よりも高次の脳機能に起こる障害です。
高次脳機能障害の原因としていちばん多いのが脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)です。また、事故などによる頭部(脳)のケガ(外傷))でも多く見られます。他にも、脳炎や低酸素脳症などでも起こります。
脳卒中が起こり、高次脳機能に障害が起こると、「言語障害(失語症)」、「記憶障害」、「行為障害(失行)」、「認知障害(失認)」、「注意障害」、「判断力の低下」、「遂行機能障害(ついこう きのう しょうがい)」などの症状が現れます。
高次脳機能障害による症状は、見た目や外見では分かりにくいため、患者さん自身も自覚していないことが多く、周囲の人からも理解されにくいものです。
それでは、各症状・後遺症についてみていきましょう。
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言語障害 (げんご しょうがい) |
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言語障害とは、神経症状の 1つで、脳の言語に関する機能を支配している部分に損傷を受けることでおこる「失語症(しつご
しょう)」と、口の周りや口の中がマヒしてスムーズに話すことができなくなる「構音障害(こうおんしょうがい)」の2つがあります。
言語障害については、「脳卒中の症状・後遺症B〜神経症状T」のページですでに解説していますので、くわしくはそちらのページをご覧下さい。
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記憶障害 (きおく しょうがい) |
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記憶障害とは、過去に記憶したことを忘れてしまったり(記憶保持の障害)、直前のこと・過去のことが思い出せなくなったり(再生力の障害)、新しいことを覚えられなくなったり(記銘力の障害)します。記憶に関する能力の全体が弱くなってしまう場合もあります。
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行為障害 (こうい しょうがい) |
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行為の障害は「失行(しっこう)」といいます。
失行とは、麻痺(マヒ)やしびれなどの症状がない(運動機能の障害が無い)のに、自分の行いたい動作や行動が正確にできない状態のことです。
失行には、「運動失行」、「観念失行」、「構成失行」、「着衣失行」、など色々なものがありますが、日常生活に大きく関わる失行は、「運動失行」と「着衣失行」です。
日常生活の簡単な動作がうまくできなくなります。複数の道具を順番通りに使う(歯ブラシに歯磨きをつけて磨く)などの行為もできなくなります。
服の着脱に関する障害です。服を着るときに上手く着られなかったり、服の前後を逆に着てしまったりします。
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