くも膜下出血(くもまくか しゅっけつ)とは、脳を保護する、「硬膜(いちばん外側)」、「くも膜」、「軟膜」、の3つの層から成り立つ脳膜のうち、くも膜と軟膜のすき間にあるたくさんの太い動脈から出血することで起こります。
簡単に言うと、脳の表面に出血するのが「くも膜下出血」で、脳の中に出血するのが「脳出血」です。
また、くも膜下出血は、脳卒中全体の 10%を占めていて、脳出血と合わせて「出血性脳卒中」とも呼ばれます。
脳をおおっているくも膜と軟膜のすき間である「くも膜下腔(くもまくか くう)」には、保護液でもある「脳脊髄液(のう せきずい えき)」が常に循環していて、脳に栄養と酸素を供給するための「太い動脈」が張り巡らされています。
この太い動脈から出血すると、くも膜下腔に流れている脳脊髄液に血液が混ざりくも膜下腔に広がってしまい、そのために「頭蓋内圧亢進(ずがい ないあつ こうしん)」が起こります。
頭蓋内圧亢進とは、頭蓋内の圧が異常に高くなることで、脳の組織の一部が正常な位置からはみ出し、周りの脳の組織を圧迫してしまう状態のことです。
頭蓋内圧亢進が起こって脳が圧迫されることで、激しい頭痛や吐き気・嘔吐(おうと)などの症状が起こり、呼吸停止や循環停止などになってしまい、最悪の場合は死亡してしまいます。
脳出血の特徴は、最初の出血が致命的なものにならないという点と、24時間以内に再び出血してしまうという点です。
ただ、くも膜下出血は、他の脳卒中である脳梗塞・脳出血よりも死亡率が高いので、くも膜下出血の症状や発作が現れたらすぐに病院で治療を受ける必要があります。
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3分の1 |
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くも膜下出血では、くも膜下出血が初めて発症した方の 3分の1が社会復帰ができるぐらい回復し、3分の1が治療後に重い後遺症が残ってしまい、3分の1が
死亡してしまう、と言われています。
言い換えれば、くも膜下出血を初めて発症した方(100%)のうちの約 30%が社会復帰でき、約30%が重い後遺症が残り、約30%が死亡してしまう、というデータがあるということです。
くも膜下出血は、他の脳卒中である脳梗塞・脳出血よりも死亡率が高いということが言えます。
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くも膜下出血の性別と年齢 |
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くも膜下出血になるのは女性が多く、男性の2倍と言われています。
また、くも膜下出血は発病年齢のピークが若いという特徴もあります。働き盛りの成人に突然発症し、40代〜50代に最も多く見られるとされています。早ければ、10代後半ぐらいの若い年齢でも発病する場合があります。
それでは次のページでは、くも膜下出血の原因についてみていきましょう。
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