前のページ「皮膚ガンとは?」でも少しふれましたが、皮膚癌にはいくつかの種類があります。
代表的な皮膚癌としては、「有棘細胞がん(ゆうきょく さいぼう がん)」、「基底細胞がん(きてい さいぼう がん)」、「メラノーマ(悪性黒色腫:あくせいこくしょくしゅ)」、の3つがあります。
それでは、上記の 3つの皮膚癌について見ていきましょう。
有棘細胞がん(ゆうきょく さいぼう がん)とは、皮膚の少し深いところ(表皮の中間層)の有棘層細胞から発生する癌で、日本人に多い皮膚癌の一つです。皮膚癌全体の約28%を占めています。
有棘細胞がんが発生すると、その場所の皮膚は盛り上がってきます。そしてもっと癌が進行すると、さらに大きくなり、ふぞろいな形の皮膚の盛り上がりで、ゴツゴツとした形になります。さわると「しこり」を感じ、しこりの真ん中がえぐれて、びらん(ただれ)や潰瘍(かいよう)が発生し、出血したりします。
有棘細胞がんになると皮膚の表面が弱くなってしまうので、細菌による感染をおこしやすくなり、膿(うみ)をもったり悪臭が出たりします。 全身へ転移する可能性もあります。
有棘細胞がんは、男性に多いです。高齢になるにつれて患者数は増加し、有棘細胞がんの約60%が70歳以上です。
基底細胞がん(きてい さいぼう がん)とは、皮膚の表皮の最下層である基底層(上の有棘細胞がんが発生する部分よりも少し深いところ)や毛包(もうほう:毛穴の奥で毛根を包んでいるところ)などを構成する細胞から発生する癌で、顔にできることが多いです。
基底細胞がんは皮膚癌全体の約46%を占めている、日本人でもっとも多い皮膚癌でもあります。
初期の基底細胞がんは、痛みやかゆみなどの無い黒色や灰黒色で光沢のある小さなしこりができるので、「ほくろ」によく似ています。そして、何年もの時間をかけて少しづつ大きくなって、そのうち真ん中の部分がえぐれて潰瘍(かいよう)となり、出血します。
基底細胞がんは進行しても転移することはほとんどありません。治りやすいがんといえます。
年齢で見ると、50歳ぐらいから増えはじめて、加齢とともに増加します。高齢者に多く、70歳以上が全体の50%弱を占めています。
性別で見ますと、男性と女性の患者数の差はほどんどありませんが、若干、男性のほうが多いです。
悪性黒色腫(あくせい こくしょく しゅ)とは、「ほくろのがん」としてもよく知られているものです。健康な皮膚から発生することもありますが、ほとんどの場合はほくろや黒あざから発生します。「黒色腫」または「メラノーマ」と呼ばれることもあります。皮膚癌全体の約18%を占めています。
皮膚の色と関係するメラニン色素をつくる「メラノサイト」、またはほくろの細胞(母斑細胞:ぼはんさいぼう)ががん化し発生します。皮膚がんの中でもっとも悪性度が高く、転移も早いです。
悪性黒色腫は皮膚のどの場所にも発生しますが、足の裏にいちばん多く発生して、体幹(たいかん:胴体のこと)、手のひら、顔面、つめ、などにも発生します。ほくろに似てはいますが、ほくろとは違い左右対称ではなく、ふちがはっきりしていなくてギザギザしていて、色むらがあります。
直径が5〜6mm以上にまで大きくなってきた場合は、悪性黒色腫である可能性が高いので、注意しましょう。
悪性黒色腫の死亡率は、男性では60歳代、女性では70歳代から増加します。
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