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運動をすると、筋肉が活発に使われるので、筋肉がエネルギーを消費します。そのため、筋肉にエネルギーとなる血液の中のブドウ糖が取り込まれるようになります。
糖尿病の方は、ブドウ糖が筋肉へ取り込まれるのが急速なので、血糖値が下がります。
運動をすることで、体の余分な脂肪が減って、肥満が解消されます。
肥満が解消されると、血糖値を下げる作用のある「インスリン(インシュリン)」の効きめがよくなるので、血糖値が下がるようになります。
また、血糖を上げるホルモンが必要以上に分泌されなくなります。
インスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性(いんすりん ていこうせい)」がある人が運動をすると、「インスリン受容体(いんすりん じゅようたい)」の数が増えたり、働きが活発になります。
インスリンは血液の中のブドウ糖と結合して、それを細胞に送ろうとしますが、それを受け取る働きをするのが「インスリン受容体」です。
つまり、インスリン受容体が活性化することで、細胞内でのインスリンの作用が高くなるので、血糖値が下がります。
運動をすることで、筋肉が増えます。
筋肉はエネルギーをたくさん消費する部分ですので、運動により筋肉が増えると、基礎代謝が上がります。
基礎代謝とは、体を動かさなくても使われるエネルギーのことです。つまり、体温を維持したり心臓を動かしたりなど、生命を維持するために使われることで消費されます。(基礎代謝についてさらにくわしくは、「肥満」のカテゴリの「肥満の解消・対策・改善B〜運動療法T」のページをご覧下さい)
つまり、基礎代謝が上がることで、安静にしているときでも脂肪が燃焼されるようになるので、太りにくい体質にすることができます。
運動をすることで、脂肪もエネルギーとして使われるので、血液の中の中性脂肪が減って動脈硬化の進行を抑えることができます。
さらに、運動すると「HDLコレステロール」が増えます。HDLコレステロールとは「善玉コレステロール」とも呼ばれていて、動脈硬化を予防する働きがあります。
動脈硬化は糖尿病の合併症が悪化する原因になります。ですから運動することは、動脈硬化の予防と糖尿病の合併症の悪化の予防になる、ということなのです。
ストレスは、糖尿病の原因になります。
ケガや手術、仕事や人間関係などにより大きなストレスを受けたりすると、インスリンの作用を弱める働きをするホルモンが分泌されてしまいます。
そうなると、血糖値が上がってしまい高血糖になり、糖尿病が発症する危険性を高くしてしまいます。
ですから、運動をしてストレスの解消されれば、血糖値を正常にたもつための効果が期待できます。
運動療法は糖尿病の方にとって重要な治療方法ですが、糖尿病の人全員が行うべき治療法ではありません。糖尿病の状態によっては、運動療法を行わないほうがよい場合があります。
ですので、次のページでは、運動療法を行っていい場合といけない場合について見ていきましょう。
※次のページ「糖尿病の運動療法B〜運動療法の注意」へ続く・・・・
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