脳出血の治療は、「薬物療法」、「手術(外科療法)」、があります。治療方法の決定は、患者さんの年齢や症状など様々な状態により判断されます。
それでは、脳出血の薬物療法から見ていきましょう。
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薬物療法 (やくぶつ りょうほう) |
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脳の出血の範囲が小さい場合や、手術が出来ない場合は、「薬物療法」を行います。薬物療法により、さらに出血の範囲が大きくならないようにし、また脳がさらに損傷してしまうことを防ぎます。
脳出血の薬物療法では、薬により「血圧をコントロール」したり、脳がむくむ「脳浮腫(のうふしゅ)」や頭蓋骨(ずがいこつ)の中の圧力が高くなってしまう「頭蓋内圧亢進(ずがい ないあつ こうしん)」の解消、「けいれん」を抑える、などを行います。
血腫が小さい場合は、時間をかければ吸収されるので、薬物療法により自然に消滅させることができます。
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血圧をコントロールする |
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高血圧は脳出血の最大の原因となるものなので、血圧をコントロールすることは脳出血の治療で最も重要です。
ですから、急性期脳出血(発作が起こってから2週間ぐらいまでの脳出血)では、血圧は低い状態で維持することが大切です。
血圧を下げる程度は、降圧剤を使う前の血圧の 80%くらいにするのが良いとされています。降圧の目標数値は、「収縮期血圧160〜170mmHg」ぐらいにします。
血圧を下げるために使われる降圧剤(こうあつざい)は、「β遮断薬(べーたしゃだんやく)」、「カルシウム拮抗薬(カルシウム きっこうやく)」、「アンジオテンシン変換酵素阻害薬(アンジオテンシン へんかん こうそ そがいやく)」などがあります。
※降圧剤についてくわしくは、「高血圧」のカテゴリの「高血圧の治療B〜降圧剤の種類」のページをご覧下さい。
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けいれんを抑える |
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発作が起こってから2週間ぐらいまでの脳出血である「急性期脳出血」では、「けいれん(痙攣)」が起こることがあります。
けいれん(痙攣)が起こると、その後に「てんかん発作」を起こすことが多いと言われているので、けいれんがある場合は「抗てんかん薬」を使います。
てんかん発作とは、意識障害、けいれん、などの発作が起こる脳の疾患です。「ニューロン」と呼ばれる大脳の神経細胞の穏やかなリズムが突然くずれて、激しい電気的な乱れ(ニューロンの過剰発射)が生じることによって起きる発作です。
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脳のむくみを解消する |
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内出血のために体内の 1ヶ所に血液がたまっている状態を「血腫(けっしゅ)」といいますが、血腫が大きくなると脳がむくむ「脳浮腫(のうふしゅ)」により、頭蓋骨の中の圧力が高くなる「頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん)」が起こり、「脳ヘルニア」が起こる危険が高くなります。
脳浮腫は 3日目から強くなり、1〜2週間でピークになります。
ですから、脳浮腫を改善するために脳圧降下薬(脳浮腫の除去)として、「グリセロール」や「マンニトール」などを使います。グリセロールを静脈注射すると脳浮腫を軽減することができ、脳代謝を改善させることができます。
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上部消化管からの出血を予防する |
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脳出血の発作を起こした後に、上部消化管(食道・胃・十二指腸)からの出血(胃潰瘍など)が起こる場合があります。この場合も薬により出血を予防します。
以上が脳出血の薬物療法ですが、血腫が比較的大きく、意識障害がみられ、脳ヘルニアの可能性がある場合は「手術(外科療法)」による治療が必要になります。
それでは次のページでは、脳出血の手術について見ていきましょう。
※次のページ「脳出血の治療A〜手術T」へ続く・・・・
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