甲状腺がんの原因は、はっきりしたことはわかっていませんが、大量の放射線被爆(ほうしゃせんひばく)が関係していると考えられています。事故などで首に強い放射線をうけてしまった場合や、放射線治療を受けたことのある人は、甲状腺がんになるリスクが高くなるといわれています。
また、甲状腺刺激ホルモンが増加した場合などが原因になるのではないかとされています。
遺伝的体質にも一部原因があるのではないかといわれています。甲状腺がんのタイプの中でも、髄様がん(ずいよう がん:甲状腺の特殊なC細胞から発生するがん)は、その約半数ぐらいが遺伝的体質によるものであることがわかっています。ですので、家族に髄様がんになった人がいる場合は、注意したほうがいでしょう。
そして、食生活では、甲状腺ホルモンの材料になる物質である「ヨード」を摂取する量が多すぎる、または少なすぎる場合に、甲状腺がんが発症するリスクが高くなるとされています。
海藻類などに多く含まれるヨードの摂取量によって、甲状腺の病気のタイプが変わってきます。ヨードの摂取量が不足している地域では、怖いタイプの甲状腺がんが多いというデータがあります。
日本人はヨードを多く含む海草をよく食べるので、甲状腺がんになる確率が高いとされていますが、甲状腺がんでも怖くないタイプの甲状腺がん(乳頭がん)が多いのです。
さらに、慢性甲状腺炎に甲状腺がんが合併することもあります。
ちなみに、慢性甲状腺炎とは、甲状腺ホルモンの生産・分泌が低下することによって全身の新陳代謝がおとろえる病気で、甲状腺機能低下症のほとんどはこの慢性甲状腺炎によるものです。
慢性甲状腺炎の別名は「橋本病」といい、「バセドウ病」と同じく自己免疫疾患のひとつで、甲状腺の病気のなかでは、この2つが多くみられるものです。つまり、慢性甲状腺炎(橋本病)とバセドウ病は代表的な自己免疫性甲状腺疾患といえます。
性別では、男性よりも女性のほうが圧倒的に多く、男性の数十倍と言われています。女性の少数が、潜在的にこの病気をもっていると考えられています。 また、年齢では 40〜50歳代にもっとも多くみられます。
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