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それではこのページでは、肺がんの手術で肺のガンを取り除く場合に、肺をどのように切除するのかを見ていきましょう。
肺の切除は、多くても片方の肺を全てとるぐらいが限界です。肺機能が低下している場合は、片方を全て取ってしまうことも難しくなります。
ですから肺がんの手術は、ガンを取り除きながらも、手術の後も肺の機能を維持できることをしっかり考えて行われます。
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一側肺全切除術 (いっそく はい ぜん せつじょ じゅつ) |
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左右どちらか片側の肺をすべて切除してガンを取り除く手術です。ガンが気管支の中央に近い部分にある場合に行われるます。
この方法は、患者さんへの負担がとても大きいという問題があります。ですので、最近では気管支形成術(下記で解説)に切り替えられつつあります。
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肺葉切除術 (はいよう せつじょじゅつ) |
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がんが発生したところの肺葉を切除する手術で、肺がんの手術でも基本的なものです。
肺葉は、右の肺が、上葉、中葉、下葉に、そして左の肺が、上葉、下葉、の全部で 5つに分けられます。
これらの 5つある肺葉のどれかにがんが限局(げんきょく)している時に行われます。がんの発生したところの肺葉を切除して、その肺葉に関連のあるリンパ節を郭清(かくせい)します。
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※限局とは?-
がん病巣が原発巣に限られている状態 |
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※郭清とは? -
がんが発生している臓器周辺のリンパ節を切除する治療 |
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気管支形成術 (きかんし けいせいじゅつ) |
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がんのある気管支と肺葉(はいよう)だけを切除して、残った正常な気管支をつなぐ手術です。
早期の肺門部がんの縮小手術として行われます。転移を予防しつつ、切除する範囲を狭くして行える手術です。
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肺部分切除術 (はいぶぶん せつじょじゅつ) |
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肺葉切除術よりも、さらに小さい範囲を切除する手術です。肺野部がんへの温存手術として行います。
体の状態が良くない方や、高齢者の方で、転移の可能性がないであろうと判断されたときに、胸腔鏡手術(きょうくうきょうしゅじゅつ)を行うこともあります。この手術は、開胸手術療法よりも患者さんへの負担が少ないというメリットがあります。
しかし、胸腔鏡手術では、切除するガンの回りへの微小な転移や、リンパ節への転移を取り残してしまう危険があるので、受けられるのであれば肺葉切除術の方が安心です。
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リンパ節郭清の縮小 |
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(りんぱせつかくせい の しゅくしょう) |
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縦隔リンパ節(じゅうかく りんぱせつ)に転移があった場合は、まず転移の起こりやすい場所のリンパ節を郭清(かくせい)します。郭清とは、がんが発生している臓器周辺のリンパ節を切除する治療です。
そして、郭清したリンパ節に転移が無かったら、転移の起こりにくいリンパ節の郭清を省略します。これを、「リンパ節郭清の省略」といいます。
切除範囲を小さくしなければならない場合(高齢者・他の病気がある方など)に有効です。
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胸腔ドレーン(きょうくう どれーん) |
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肺切除とリンパ節の郭清(かくせい)が終わると、手術後に胸腔に出てくる出血や、残った肺からもれる空気をぬくための「胸腔ドレーン」が胸の中に1、2本入れられます。
ちなみに胸腔とは、左右 2つあって12本の肋骨で囲まれた独立した空洞のことで、肺の存在する場所のことです。
それでは次のページでは、肺がん治療の「化学療法」について見ていきましょう。
※次のページ「肺がんの治療B〜抗がん剤治療T」へ続く・・・・
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