薬での前立腺肥大症の治療については、「前立腺肥大の薬について」のページで解説しました。
薬での治療は安全で患者さんの負担も軽いのですが、薬の服用をやめてしまうとまた排尿障害が現れてしまうこともあります。そして前立腺がさらに肥大してくると、薬での治療は難しくなります。
ですから、前立腺肥大症の根本的な治療は手術になります。以前では開腹手術が主流でしたが、お腹を切ることが患者さんへの負担も大きいので、今ではほとんどの場合、負担の少ない別の方法が行われています。
それが「低侵襲手術(ていしんしゅうしゅじゅつ)」です。低侵襲手術はいろいろな方法があります。
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経尿道的前立腺切除術 |
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(けいにょうどうてきぜんりつせんせつじょじゅつ) |
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経尿道的前立腺切除術はTURPとも言われ、尿道から内視鏡を入れて、内視鏡の先端についている電機メスで患部を切除していく手術方法です。TURPは前立腺肥大症の手術に最もよく用いられる方法です。
手術時間は長くても 約 1時間 30分ぐらいです。入院する期間は、状態によりますが、1日〜
1週間です。
・TUIとは
TURPと似ていますが、もっと簡略化した術法です。TUI は尿道を確保することを目的としているので、肥大した前立腺を治療するわけではありません。前立腺肥大症でも排尿障害だけを治療できればよい症状の場合に行われることがあります。 |
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TURPの後遺症 |
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TUR反応、手術部分の出血、尿失禁、尿路感染症、尿道狭窄(にょうどうきょうさく)、逆行性射精(精液が膀胱に逆流する)、ほか
・TUR反応とは・・・手術中の視界確保と、削った切片の除去のため用いられた灌流液が、血液中に吸収され、低ナトリウム血症が起こる |
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TURPを受ける人の条件 |
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・薬物での治療による効果が望めない方 |
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・前立腺肥大症の症状が、残尿期にまで進んでいる方 |
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・残尿がある方。(50ミリリットル以上) |
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・尿路感染症が頻繁に起こる方 |
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・明らかに出血がある方 |
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・尿閉がある(自力で排尿できない症状) |
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・IPSSが 14点以上で、頻尿・切迫性尿失禁がある方
(IPSSとは、頻尿・夜間頻尿などの排尿障害の症状を 7項目に分けて数値化して、軽症・中症・重症の3種類に排尿障害の程度を分類したもの。症状が重いと数値が高くなる。 |
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・尿流測定で、最大尿流率が毎秒 10ミリリットル以下の方 |
次のページでは、別の低侵襲手術についてくわしく見ていきましょう。
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