※前のページ、「前立腺がんの治療A〜手術T」の続きです。
|
前立腺摘出術 (ぜんりつせん てきしゅつ じゅつ) |
|
|
前立腺摘出術とは、前立腺と精嚢腺(せいのうせん)を摘出して、残った膀胱(ぼうこう)と尿道を縫(ぬ)い合わせる手術です。前立腺癌の根治治療として優れた方法です。
前立腺摘出術で、神経を温存して行う場合は別ですが、そうでない場合は勃起(ぼっき)に関わる神経も前立腺といっしょに切除してしまうので、インポテンスになります。排尿の機能には問題はありません。
手術を行うのは、癌が転移していない状態のときです。病期でいうと「病期A」と「病期B」までです。
また、癌の中でも、進行が早く転移しやすいがんである場合は、「集学的治療」が行われることもあります。集学的治療とは、手術、放射線療法、ホルモン療法(内分泌療法)、を組み合わせて行う治療方法です。
前立腺摘出術は、前立腺へのアプローチの違いにより、「恥骨上式(ちこつじょうしき)」、「恥骨後式(ちこつこうしき)」、「会陰式(えいんしき)」の 3つの方式があります。その中でも、もっともよく行われているのは「恥骨後式(ちこつこうしき)」で、恥骨のすぐ上から恥骨の裏側にそって切り開きます。
|
腹腔鏡下前立腺全摘手術 |
|
(ふくくうきょうかぜんりつせんぜんてきじゅつ) |
|
|
腹腔鏡下前立腺全摘術とは、お腹に小さな穴を数カ所開けて、そこから腹腔鏡を挿入して手術する方法です。腹腔鏡は内視鏡の一種で、小さなカメラや治療器具がついているので、お腹を大きく切り開かなくても手術することができます。
腹腔鏡による手術は、お腹を大きく切り開かないので、回復も早いというメリットがありますが、開腹手術のように患部を直接みて手術するわけではないので、治療時間も長くなるというデメリットもあります。また、手術後に尿失禁が起こる可能性もあります。
また、腹腔鏡下前立腺全摘術は熟練した技術も必要なので、どの病院でも受けられるというものではありません。
|
経尿道的前立腺切除術(TURP) |
|
(けいにょうどうてき ぜんりつせん せつじょじゅつ) |
|
|
経尿道的前立腺切除術はTURPとも言われ、尿道から内視鏡を入れて、内視鏡の先端についている電機メスで患部(前立腺)を切除する手術方法です。
TURPは前立腺肥大症の手術に最もよく用いられる方法ですが、前立腺がんでもこの治療法が行われることがあります。
前立腺癌の場合、がんの進行により、がんが尿道を圧迫して起こる排尿障害や尿閉を解消するために、この手術方法で前立腺を切除します。
前立腺がんで行うこの手術は、尿道を確保して排尿障害をなくすものなので、がんを治す治療ではありません。
|
高密度焦点式超音波療法(HIFU) |
|
(こうみつど しょうてんしき ちょうおんぱ りょうほう) |
|
|
高密度焦点式超音波療法(HIFU)とは、超音波を 1つの焦点に集中させて発生した高温により患部を凝固(ぎょうこ)・壊死(えし)させる治療です。
HIFUは、前立腺肥大症を治療するための新しい方法ですが、前立腺癌にも治療効果があるとして注目されています。
それでは次のページでは、前立腺がんの放射線療法についてみていきましょう。
※次のページ「前立腺がんの治療C〜放射線治療」へ
|