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前立腺がんの放射線治療(放射線療法)は、体の外側からがん細胞へ放射線を当てて治療する「外部照射(外照射療法)」と、体の内側からがん細胞へ放射線を当てる「小線源治療(しょうせんげん ちりょう)」の2つの方法が主となる治療法です。
それでは、前立腺がんの放射線治療についてさらにくわしく見ていきましょう。
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外部照射(外部照射療法) |
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(がいぶ しょうしゃ) |
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前立腺がん治療での放射線の外部照射は、「三次元原体照射法(3D-CRT)」と、「強度変調放射線治療(IMRT)」があります。
外部照射による治療は、通常、約8週間の期間にて行います。
・三次元原体照射法(3D-CRT) |
(さんじげん げんたい しょうしゃほう) |
3D-CRTとは、CTとコンピューターを使い前立腺を三次元映像化して、放射線を照射する範囲を変えながら、がんへ放射線を当てて治療することができる方法です。
・強度変調放射線治療(IMRT) |
(きょうど へんちょう ほうしゃせん ちりょう) |
IMRTとは、放射線の強さを自由に調整しながら、がんに放射線を照射することができる治療法です。
「3D-CRT」と「IMRT」は、がんに集中して放射線を照射することができるので、がん以外の組織に放射線が当たるリスクが少なくてすむというメリットがあります。
外部照射の副作用は、頻尿(ひんにょう)、下痢、排尿痛、肛門痛、また治療後には、肛門や膀胱からの出血が見られることもあります。
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小線源治療 (しょうせんげん ちりょう) |
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小線源治療(小線源療法・ブラキセラピー)とは、前立腺の中に非常に小さい放射線源を埋め込んで、前立腺の中から放射線を照射する治療法です。直腸から超音波エコー装置(プローブ)を挿入して、専用の器具で会陰部(えいんぶ:肛門と外陰部の間の部分)から埋め込みます。
放射線源から放出される放射線はとても弱いですが、放射線源をある程度の期間埋め込んで放射線の照射を続けるため、弱くても多くの放射線を当てることができます。
小線源治療は、比較的早期の段階の前立腺がんに適しています。全摘手術に比べると根治できる確率は下がりますが、手術や外部照射と同じぐらいの効果が期待できます。体への負担も少ないので、高齢者の方でも受けることができます。
また、小線源治療は、尿失禁などの排尿障害や勃起障害(ED)などの合併症や再発なども起こりにくいというメリットもあります。
がんが大きく広がっている場合は、外部照射と組み合わせて行われることもあります。
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高線量率組織内照射法 |
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(こうせんりょうりつ そしきない しょうしゃほう) |
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高線量率組織内照射法とは、「イリジウム192」という強い放射線を使って行う前立腺がんの治療です。前立腺のがんに針(アプリケーター)を数本〜数十本刺して、そこから高エネルギーの放射線を照射します。「病期C」の方への治療も可能です。
それでは次のページでは、前立腺がんのホルモン療法についてみていきましょう。
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