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糖尿病治療の基本 |
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糖尿病の食事療法とは、1日の食事を適正なエネルギー量(カロリー量)に制限することで、血糖値をコントロールしていく治療方法です。
食事療法は糖尿病治療のいちばんの基本となり、最も効果のあるものです。適正な食事療法をおこなえば、すぐに糖尿病が改善されることもあります。
それでは、食事療法が糖尿病の治療として効果がある理由は何なのでしょうか?
血糖値を下げる働きのあるホルモンである「インスリン(インシュリン)」は、食事の量によって影響を受けます。
糖尿病の人は、すでにインスリンの分泌量やその働きが低下しているのにもかかわらず食事を多く食べてしまうと、インスリンを分泌している膵臓(すいぞう)はもっとインスリンを分泌しようとして疲れてしまいます。
膵臓が疲れてしまうと、さらにインスリンの分泌量や働きが低下してしまい、また血糖値が上がってしまいます。
高血糖状態に膵臓がさらされると、ますます膵臓への負担がかかってしまいます。するとそのうち膵臓はさらにインスリンを正常に分泌できなくなり、最終的には膵臓は負担に耐えられなくなるので、インスリンの分泌を停止してしまうのです。
ですから、食事療法をおこなって、膵臓のインスリン分泌量に合った量の食事に制限することで、食物から取り入れたブドウ糖はエネルギーとして完全に利用することができ、血糖値を正常値におさえることができます。
つまり、食事療法は、膵臓の負担を軽くして健全に保ち、糖代謝(とうたいしゃ)をスムーズに行えるようにすることで、血糖値を正常値に維持していくための治療なのです。
余分な食事を控えることで、食物の利用効率を高めて、不足しているインスリンの分泌を助け、インスリンを効きやすくすることができるというわけなのです。
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食事療法は健康食 |
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「食事療法」という言葉を聞くと、特別な食事をおこなわなければならないように感じるかもしれませんが、そうではありません。
食事療法は、
・1日の食事のエネルギー量(カロリー量)を適切な量にする
・栄養のバランスのよい食事にする
という 2つのことを毎日行っていくだけです。
「1日の食事のエネルギー量(カロリー量)を適切な量にする」というのは、患者さんの糖尿病の状態にあった適切なカロリー量を食事により摂取することです。
「栄養のバランスのよい食事」というのは、「糖質」、「脂質」、「たんぱく質」の 「3大栄養素」をバランスよくとることです。
つまり、糖尿病の食事療法は、どんな人にも勧められる「健康食」なんです。
ですから、糖尿病の人が絶対に食べてはいけないものというものはありません。糖尿病だからといって、糖質をとってはいけないということはありません。糖質は重要なエネルギーですので、適切な量の糖質をとる必要があります。
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糖質だけの制限は× |
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糖尿病は、血液の中のブドウ糖の量が慢性的に多すぎてしまう病気です。
それならば、「食事制限は、糖質だけ制限すればよいのでは?」と思うかもしれませんが、それは間違いです。
尿糖は、ご飯はパンんどの糖質の多い食品を全然とらなくても出てきます。また、糖質を極端に制限すると、逆にインスリンの作用が悪くなって血糖値が高くなることもあります。
ですから、糖質だけの制限ではなく、1日にとるエネルギーの総量を制限することが大切なのです。
それでは次のページでは、食事療法と1日の食事のエネルギーについて見ていきましょう。
※次のページ「糖尿病の食事療法A〜一日の摂取カロリー」へ続く・・・・
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