腎臓と糖尿病

- 腎臓と糖尿病・進行段階・症状・治療・予防について解説。

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 このページでは、糖尿病(とうにょうびょう)について解説しています。糖尿病は誰でもなりうる病気ですが、特に中年から高齢になると注意したい病気です。そして、糖尿病はとても危険な病気の発症につながる可能性があります。ですから糖尿病について理解して、糖尿病の症状・原因・治療・検査やさらに気になる色々な情報などから、糖尿病を早期発見・予防できるようにしましょう!
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糖尿病性腎症の進行段階

 糖尿病性腎症は、その進行段階によって、第 1期〜第 5期までの 5段階に分類されています。

 第 1期から順番に、「腎症前期」、「早期腎症」、「顕性腎症(けんせい じんしょう)」、「腎不全期(じんふぜん き)」、「透析療法期(とうせき りょうほう き)」、となっています。

 それではそれぞれの段階について見ていきましょう。



第 1期 - 「腎症前期」

 第 1期の「腎症前期」の状態は、微量アルブミン尿とタンパク尿の両方ともに陰性で、腎臓の機能の検査も正常の状態です。

 糖尿病性腎症になる兆候はありませんが、糸球体(しきゅうたい)に高血糖の血液が流れると腎症が発症する可能性が高い段階です。

 腎症前期での治療は、食事療法・運動療法・薬物療法などにより血糖コントロールを行って血糖値を正常に保つようにしていきます。

 腎症前期での定期検査としては、 1年に 1回は尿中微量アルブミン検査を行います。また、血液検査や腎臓の機能を調べる検査なども必要に応じて行います。



第 2期 - 「早期腎症」

 第 2期の「早期腎症」の状態は、尿の中に微量のアルブミンが認められるが、腎臓の機能は正常な状態です。

 糖尿病が発症してから約10〜15年ぐらい経過すると、この第 2期へと進行することが多いです。

 第 2期「早期腎症」での治療方法は、血糖コントロールをしっかり行っていきます。血圧が高い場合は血圧を下げるための治療を行うこともあります。「最大血圧 130mmHg以下、最小血圧 80mmHg以下」になるように血圧をコントロールしていきます。塩分を控え、激しい運動をしないようにします。

 第 2期「早期腎症」での定期検査は、3ヶ月に 1回は尿中微量アルブミン検査を行います。



第 3期 - 「顕性腎症」

 第 3期の「顕性腎症(けんせい じんしょう)」の状態は、いつ検査してもたんぱくが尿に出ている状態です。これを「持続性たんぱく尿」といいます。

 だいたい、尿に微量のアルブミンが出始めてから 10年ぐらいで、この「顕性腎症」の時期へと進行してしまいます。

 そして、顕性腎症は「前期」と「後期」に分類されています。

 「前期」は、血液をろ過する腎臓の機能は正常だが、たんぱく尿が出ている状態です。自覚症状はありません。

 「後期」は、ろ過する機能が低下して、血圧が上がったり足がむくむなどの症状があらわれてきます。また眼底出血や神経障害も多くなってきます。

 顕性腎症の後期にまで進んでしまうと、血糖コントロールでは腎症の進行を抑えることが難しくなります。

 第 3期「顕性腎症」の治療方法は、前期では、しっかりと血糖コントロールを行う、血圧のコントロール、食事でのタンパク質を制限する、などを行っていきます。後期では、血圧のコントロールや食事を低タンパク食に切り替えていきます。

 第 3期「顕性腎症」の定期検査は、血液検査や、尿たんぱく検査と腎臓の機能を調べる検査を 1ヶ月に 1回行います。



第 4期 - 「腎不全期」

 第 4期「腎不全期(じんふぜんき)」の状態は、持続性たんぱく尿がある、糸球体のろ過機能の低下など、腎臓がほとんど機能しなくなった状態です。

 顕性腎症を治療しないで放置すると、だいたい 5年ぐらいで腎不全期へと進んでしまいます。

 腎不全期で起こる症状は、慢性的な貧血、手足のしびれ、疲れやすい、だるい、顔色が悪い、全身がむくむ、などがあります。

 腎不全期まで腎症が進んでしまうと、もうもとの状態に戻すことはできません。さらに悪化して、全身に中毒症状があらわれる「尿毒症(にょうどくしょう)」になると、脳の神経機能の障害や肺水腫(はいすいしゅ)などになり、命にかかわる場合もあります。

※ちなみに、肺水腫とは、血液の液体成分が血管の外へしみ出した状態をいいます。肺内で液体成分がたまるため、肺のガス交換が障害されて、低酸素血症となり、呼吸困難が現れます。

 腎不全期の末期状態では、腎臓の機能がほとんどなくなってしまいます。ですから、腎臓の機能の代わりとして、「透析療法(とうせき りょうほう)」を行わなければなれません。

 第 4期「腎不全期」の治療は、食事を低タンパク食にする、血圧をコントロールする、などを行い、さらに透析療法を行うかどうかを検討します。

 第 4期「腎不全期」の定期検査は、血液検査で血中の老廃物の濃度を定期的に調べます。



第 5期 - 「透析療法期」

 第 5期の透析療法期(とうせき りょうほう き)」の状態は、もう腎臓の機能はほとんど停止しているので、尿毒症により死亡してしまうことを避けるために、人工透析(じんこう とうせき)を行う段階です。

 透析療法には、「血液透析」と「腹膜透析(ふくまく とうせき」の 2つの方法があります。

 血液透析とは、機械により血液の老廃物をろ過する人工透析です。血液を体から機械へと導いて老廃物をろ過し、きれいになった血液を体内へ戻します。 1週間に約 3回、そして 1回にかかる時間は約 5時間ほどです。一般に人工透析というと、この血液透析のことです。

 腹膜透析とは、自分の腹膜を利用して行う人工透析です。腹腔内に透析液を入れると、血液の中の老廃物が腹膜を通過して、透析液の中ににじみ出ます。老廃物のまじった透析液は、 1日に 4回取り替えます。



 それでは次のページでは、糖尿病の合併症である動脈硬化について見ていきましょう。

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