糖尿病性網膜症

- 糖尿病性網膜症の進行段階・症状・治療・予防について解説。

糖尿病性網膜症とは

高齢者の生活習慣病
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 このページでは、糖尿病(とうにょうびょう)について解説しています。糖尿病は誰でもなりうる病気ですが、特に中年から高齢になると注意したい病気です。そして、糖尿病はとても危険な病気の発症につながる可能性があります。ですから糖尿病について理解して、糖尿病の症状・原因・治療・検査やさらに気になる色々な情報などから、糖尿病を早期発見・予防できるようにしましょう!
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単純網膜症 (たんじゅん もうまくしょう)

 単純網膜症とは、糖尿病性網膜症の初期の段階です。網膜には様々な異常が起こりますが、この段階では視力にあまり影響がでないため、自覚症状はほとんどありません。

 この段階では、網膜の毛細血管は、高血糖のために流れが悪くなり、もろくなってきます。そして、もろくなった部分に「毛細血管瘤(もうさい けっかん りゅう)」と呼ばれる小さなコブが発生します。

 そして、このコブがつぶれると「点状出血(てんじょう しゅっけつ)」と呼ばれる小さな出血が起こります。また、出血によりしみ出た血液成分であるタンパク質や脂肪が網膜上に沈着して、「白斑(はくはん)」をつくるようになります。

 単純網膜症の段階での治療は、「血糖コントロール」と「定期的な眼底検査」です。

 眼底検査とは、目の網膜の血管をしらべるための検査です。網膜の血管は肉眼で見ることができる唯一の場所なので、眼底カメラという器具を使って、直接、網膜の血管を見て調べることできます。

 この段階であれば、血糖値を正常値にコントロールすることで、進行をくい止めることができ、点状出血も消えていきます。



前増殖網膜症 (ぜん ぞうしょく もうまくしょう)

 前増殖網膜症とは、初期段階の単純網膜症がさらに進行した段階です。

 単純網膜症の状態を対処せずに放置して前増殖網膜症の段階になると、毛細血管がふさがって大小のコブができ、コブがつぶれて出血(点状出血)したり白斑(はくはん)の数が増えてきます。また、大きな眼底出血が起こります。

 途中から完全にふさがった毛細血管が増えてきますが、この段階では病変はまだ網膜内にとどまっています。

 症状も、まだほとんどの場合、感じることはありません。


 前増殖網膜症の治療方法は、血糖コントロールを基本として、さらにレーザー治療を行います。

 レーザー治療は「光凝固法(ひかり ぎょうこ ほう)」と呼ばれるもので、レーザーで網膜の細胞を焼いてその部分を焼き固めることで、点状出血や白斑を消滅させます。

 さらに、次の段階へ進行・悪化するのを防いだり、末期の段階で発生する新生血管(しんせい けっかん)の発生を防ぐことができます。



増殖網膜症 (ぞうしょく もうまくしょう)

 増殖網膜症とは、糖尿病性網膜症が進行した最後の段階で、目にさまざまな自覚症状があらわれてくるほど悪化している段階です。

 前増殖網膜症からさらに進行・悪化して増殖網膜症になると、毛細血管の血流障害のせいで、さらに網膜が酸素不足になるので、その酸素不足をおぎなうために新しい血管がつくられ、網膜にはうように伸びてきます。

 この新しい血管は「新生血管(しんせい けっかん)」と呼ばれ、とてももろく弱い血管です。一般的には、新生血管が発生した段階で、増殖網膜症の段階へと進んだと判断されます。

 新生血管はもろいので、少しの刺激でも破れて出血してしまいます。網膜上で出血を起こしたものが「眼底出血(がんていしゅっけつ)」です。出血すると網膜内だけでなく、硝子体(しょうしたい)にまで広がってしまうこともあります。

 「硝子体(しょうしたい)」とは、眼球の形をととのえている無色のゼリー状のかたまりで、眼球の内部のほとんどを満たしています。卵白より少し固く、99%が水からなります。また、硝子体は水晶体の後ろに接していて、眼球の奥では一部網膜と軽く接しています。入ってくる光を屈折させる働きをしています。

 硝子体に入り込んだ新生血管が出血したものを「硝子体出血」といいます。硝子体出血が起こると、光がさえぎられて視力が低下するので、視界がぼやけたり、黒いチリのようなものがちらついて見えるようになるなどの自覚症状があらわれます。

 硝子体内に大きな出血が起こってしまうと、失明(しつめい)する場合もあります。

 新生血管がやぶれて何度も出血が起こると、網膜と硝子体の間に「増殖膜(ぞうしょくまく)」が発生します。この増殖膜は、網膜を引っぱるので、眼底からはがれて「牽引性網膜剥離(けんいんせい もうまく はくり)」が起こります。

 牽引性網膜剥離になると、視力が極端に低下したり、ものがゆがんで見えたりなどの症状が起こります。

 また、網膜剥離が黄斑部(おうはんぶ:網膜の中心)で起こると失明してしまいます。

 「黄斑部(おうはんぶ)」とは、目の「網膜」の中心にあり、水晶体を通して入ってきた光線が映像を結ぶ網膜の中心部です。カメラに例えるとフィルムと同じ役割をしていて、ものを見る細胞である視細胞があつまっている、とても重要なところです。


 増殖網膜症の治療方法は、新生血管が発生しても、病変が網膜内にとどまっている場合は、レーザーによる治療の「光凝固療法(ひかり ぎょうこ りょうほう)」による治療を行います。

 硝子体出血を起こして出血がなかなか引かずに視力障害を起こしたり、網膜剥離を起こして見えなくなる状態にまで進んだ場合は、光凝固療法では間に合わないので、障害の起こっている硝子体や増殖膜を切除する「硝子体手術(しょうしたい しゅじゅつ)」を行います。



糖尿病性網膜症への対策は?

 糖尿病性網膜症は、初期段階の単純網膜症、そして次の段階の前増殖網膜症では、自覚症状がほとんどありません。

 つまり、最後の段階の増殖網膜症にまで悪化して、ようやく症状があらわれてくるのです。

 ですから、網膜症を初期段階で発見するには、定期的に眼底検査を行うことがいちばんです。

 そして、網膜症を進行させないためには、血糖コントロールをしっかりと行い、さらに定期的に検査を受けることが大切です。


 眼底検査の頻度は、すでに単純網膜症がある場合は、1年に 1〜2回、状態によっては 3回行います。

 前増殖網膜症では、増殖網膜症へと進行しないために 3〜4ヶ月に1度の検査が必要です。

 増殖網膜症にまで進んでいる場合は 毎月、状態によっては 2週間に 1回の検査を行っていきます。



 それでは次のページでは、糖尿病の 3大合併症である糖尿病性腎症について見ていきましょう。

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