卵巣がんの治療は、手術(外科療法)が基本となります。手術方法は、原則として、お腹を切り開いて行う開腹手術を行います。
ただ、肝臓や肺への転移があり、それががん性腹膜炎よりも危険である場合は手術ができないこともあります。ただ、卵巣がんではあまりないケースです。
化学療法(抗がん剤治療)は、卵巣がんの場合、手術の前または後に補助療法として行われます。放射線(X線)による放射線療法を行う場合もあります。
それでは、卵巣がんの治療である、「外科療法(手術)」、「化学療法(抗がん剤治療)」、「放射線療法」、についてみていきましょう。
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外科療法(手術) |
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卵巣がんの手術方法は、転移の状態や、年齢などによって決定されますが、基本的には下記の「卵巣の切除」と「大網の切除」が行われ、さらに「後腹膜リンパ節郭清」や「腸管などの合併切除」を行う場合もあります。
片側の卵巣や卵管を切除する、または両側の卵巣、卵管、子宮を全て切除する方法があります。
片側の卵巣を残す保存手術は、後に妊娠することも可能ですが、残せるのは年齢が若い方で、さらにがんの大きさやタイプなどによるので、誰でも保存手術を受けられるわけではありません。
大網とは、胃から垂れ下がって、腹部(大小腸)をおおっている大きな網のような脂肪組織です。
大網は卵巣がんの転移が最もよくおこる組織ですが、なくても機能上の問題がないので切除するのが一般的です。
・後腹膜リンパ節郭清(こうふくまく りんぱせつ かくせい) |
後腹膜リンパ節も、卵巣がんの転移が起こりやすい組織のひとつですので、リンパ節郭清(りんぱせつ かくせい)を行います。
後腹膜とは、腹腔(ふくくう)の背中側にある腹膜と、背骨や背筋との間の領域で、大動脈、下大静脈、 腎臓、尿管などのある場所です。
リンパ節郭清とは、リンパ節を周囲の脂肪組織ごとすべて除去することです。
卵巣がんによる腹腔内(ふくくうない)の転移をできるだけ切除するために、大腸、小腸、脾臓(ひぞう)などをがんと一緒に切除する場合もあります。
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