前立腺がんの症状は、早期ではほとんどありません。がんがかなり進行し、大きくなって尿道を圧迫すると、排尿の障害が起こります。
前立腺がんでの排尿障害は、前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)の症状とよく似ています。尿の出や勢いが悪くなる、尿を出しきったと思っても膀胱(ぼうこう)に尿が残る、尿の回数が増える(頻尿:ひんにょう)、夜間(寝ているとき)に何度もトイレに行く(夜間頻尿)、などです。
ただ、前立腺がんが尿道を圧迫して起こる排尿障害が、前立腺肥大症の症状とよく似ているといっても、前立腺肥大症ががん化することはありません。この2つの病気は、発生する場所なども違うので、まったく別の病気です。ただ、2つの病気が同時に起こることはあります。
がんがさらに進行して尿道、膀胱、精嚢(せいのう)にまで進んでしまうと、尿をするときに痛みを感じたり、血尿、尿閉、精液に血が混じる、腎臓障害、勃起不全などが起こります。ちなみに精嚢とは、前立腺の後ろに一対ある長さ5cmほどの袋状の器官で、精液の多くの部分(約7割)を作っています。
さらに、がんが、骨盤、腰椎(ようつい)、胸椎(きょうつい)、脊椎(せきつい)にまで転移してしまうと、転移した骨の部分の痛みや骨折、下半身のむくみ、貧血、などが起こります。
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