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糖尿病性壊疽とは? |
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糖尿病の人は、足の傷には十分注意する必要があります。
糖尿病になると、足の火傷、水虫、靴ずれ、などによる傷や感染症が悪化して、「潰瘍(かいよう)」や「壊疽(えそ)」になりやすくなります。
壊疽とは、ちょっとした皮膚の傷がもどでそこに細菌が感染して、化膿(かのう)してしまい、さらに悪化していって皮膚から皮下組織までの細胞が死滅して腐ってしまう病気です。最後には骨まで腐ってしまいます。
この、糖尿病による壊疽を「糖尿病性壊疽(とうにょうびょう せい えそ)」といいます。
壊疽は、足の末端のところ(足の指、足の甲、足のうら、かかと、足の指の間、足の爪の周り)に濃い紫色や黒い部分ができて、それがどんどんと足全体に広がっていきます。
治療をせずに放置すると、足の指や足を切断しなければならなくなります。また、敗血症(はいけっしょう)を起こして死亡することもあるので、壊疽はとても怖い病気なのです。
ちなみに、敗血症とは、血液における細菌感染症で、体の病巣の部分(壊疽の部分)から血液の中にどんどんと細菌が流れていってしまう状態のことで、細菌による感染症の中では一番重症な状態です。
ただ、糖尿病性壊疽は、早く治療すれば治りやすい病気なので、足先や足の裏に濃い紫色や黒い部分などの異常が見られたら、すぐに治療を受けるようにしましょう。
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糖尿病性壊疽の原因 |
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壊疽の原因は、「血管障害」、「神経障害」、「抵抗力の低下による細菌感染」、の 3つがあります。
壊疽が起こる場合、これらの 3つの原因が、重なり合って起こります。
「血管障害」は、高血糖のために起こる動脈硬化です。動脈硬化が進行すると血液の流れが悪くなります。
血液の流れが悪くなると、細菌を殺す白血球や傷の回復をしてくれる血液の成分も少なくなります。そのために小さな傷でも膿(う)みやすくなり、潰瘍(かいよう)や壊疽へと悪化してしまうのです。
「神経障害」は、高血糖により末梢神経(知覚神経・運動神経・自律神経)に異常が起こるので、足の痛みなどの感覚を感じにくくなってしまいます。
そうなると、足の傷やケガに気付かずに放置してしまい、壊疽が起こり、悪化していってしまいます。
神経障害による潰瘍や壊疽は、病変部が腫(は)れて崩れたようになります。患部はじくじくと湿って、悪臭がします。
「抵抗力の低下による細菌感染」は、高血糖により体の抵抗力が低下することで、細菌などに感染しやすくなり、壊疽にまで悪化しやすくなってしまいます。
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糖尿病性壊疽の治療 |
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糖尿病性壊疽の治療方法は、壊疽(えそ)になった原因により違います。
足の血管が狭くなっていたり、つまってしまっていたりする場合は、血管障害が原因の壊疽ですので、血液の循環を良くする薬や、血管をバルーン(風船)のような治療器具で広げる「バルーン療法」などを行います。
また、血管の状態によっては、血管の異常のある部分を迂回(うかい)するようにして新しい血管を移植する「バイパス手術」を行うこともあります。
神経障害が原因の壊疽の場合は、ほとんどの場合、細菌に感染しているので、必要に応じて抗生物質による治療をおこないます。
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糖尿病性壊疽の予防 |
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糖尿病性壊疽の予防で大切なのが、血糖コントロール、血圧の管理、そして足を清潔にしておくことです。
また、壊疽は傷から悪化して起こることがあるので、糖尿病の人は足を常にチェックするようにしてください。傷があるときちゃんと消毒して、バイ菌が入らないように保護し、病院で診てもらいましょう。
糖尿病の運動療法では、足をケガしないように、また靴ずれにも注意しましょう。
はだしで歩かない、爪を切るときに足を傷つけないようにする、深爪をしない、コタツなどでの低温やけど、などにも気を配りましょう。
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