多発性骨髄腫の治療は、病気の進行具合や骨髄腫細胞の増加の程度により決定されます。
初期の状態(Mたんぱくが少なく、骨の痛みなどの症状がほとんどない状態)では、治療を行わず経過観察をする場合もあります。病気が進行してきたら、化学療法(抗がん剤治療)をメインとして行います。
また、放射線療法や、大量化学療法後に造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼういしょく)を行う場合もあります。
それでは、各治療法についてくわしく見ていきましょう。
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多発性骨髄腫の化学療法 |
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多発性骨髄腫の治療は、化学療法により効果が期待できます。しかし、化学療法を行っても、確実に治癒できるわけではありません。
メルファランとプレドニゾロンという抗がん剤をつかう「MP療法」や、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾンという抗がん剤を使う「VAD療法」などがよく行われます。
また、骨折などの骨障害には、「ビスホスホネート系骨吸収抑制剤」が使われます。
また、多発性骨髄腫の治療薬として、近いうちに日本でも認可が下りて治療効果が期待できる薬として、「サリドマイド」、「レナリドマイド」、「ボルテゾミブ」などがあります。
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多発性骨髄腫の放射線療法 |
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放射線療法は、がんの範囲が狭い場合には有効です。骨髄腫細胞が腫瘤(しゅりゅう)を形成した場合や、疼痛(とうつう)の緩和のために、局所照射により行われます。
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多発性骨髄腫のその他の治療 |
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「インターフェロン」という薬による治療が行われることもあります。インターフェロンとは、ウイルスの増殖を抑える効果がある物質で、もともと人間のT細胞と呼ばれるリンパ球から分泌される物質です。抗がん剤との併用や、病気の状態がよくなった後に単独で使われたりします。
比較的若い患者さん(60歳以下ぐらい)には、大量の抗がん剤治療の後に造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼういしょく)を行うことがあります。
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高齢者の多発性骨髄腫の治療 |
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高齢者の方の場合は、大量の抗がん剤を使うような強力な治療は行えないので、メルファランとプレドニゾロンという抗がん剤をつかう「MP療法」を行うのが一般的です。
ただ、もう少し強力な「VAD療法(ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン)」を行う場合もあります。また、上記しましたインターフェロンによる治療を行うこともあります。
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